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「なぜポジションレスな働き方が求められてるのか?」というイベントでパネラーしたときの感想と補足

すろっくさんだよ。

3/10に友人の小山田さんが主催しているイベントでパネラーしてきたのでそのレポートです。

以前こんなスライドでLTしてました。

その時に小山田さんから「ポジションレスな働き方について」というテーマでパネラーしてみない?というお話をいただき、実現する運びとなりました。

僕はSREという日本じゃ浸透してない範囲の広いお仕事に至るまでの経緯とかもろもろについて、そしてもう一人高柳さんという僕とは違う意味でポジションレスな働き方をしている人事やファシリテーターとして動いている方と、二人でパネラーしてました。

主催の小山田さんが勉強会については書いてくれているので、僕は補足的ななにかと、感想みたいなものを書いていこうと思います。

「ポジションレスな働き方」#とは

まずここの定義なんですが、日本では分業制が結構幅を聞かせていて、そのコンテクストで話したほうが理解はされるし受け入れてもらえることが多いです。でも一方で、ベンチャーだったりである程度先進的な、日本本来ではない働き方を取り入れている会社では、分業制で表現するには成り立たなかったりします。

僕のSREという職種はそんな感じで、従来のインフラエンジニアとしての仕事 + デバッグ/改善 / 集計といったアプリケーションエンジニアとしての知識が必要となる仕事もこなします。そうなってくるとかつての分業制の組織では収まらなくなってきます。「インフラエンジニアなんでしょ?」っていわれると、それだけってわけじゃないし、「コード書いてるの?」っていわれるとそれだけじゃないし……っていう。ただここでフルスタックエンジニアか!とか言われるとバカにされた感じしかしないし、CTOなの?って言われるとお前の貧弱な発想力しかない脳みそを控えめに潰してやろうかっていう気持ちになってくるので、そんな感じです。まあとにかく割となんでもやれるってことですね。そういうのがもとめられる役割のひとたちです。

ポジションレスな働き方ができるようになるには

「なんでもできることはなにもできないこと」とかつて勤めた会社の社長に言われたことがあって、すごく悔しい思いをしました。もちろんなんでもできるわけではないのですが、そのポジションレス的な人材の人の特性を認めてあげられる土壌が必要だと思います。

僕は人がポジションレスな人材に育つには「流れ」が必要だなーと思ってて、その流れに乗って生きることができれば気づけばポジションレスになるんじゃないかなって思ってます。一緒にパネラーしてた高柳さんは「ITエンジニアの中で勉強会ができる流れが当たり前である」という流れに乗り、一方で僕は技術の流れにそっていたらAWSやAzureなどのクラウドコンピューティングが出たあたりから働き方が一変してしまいました。時代の流れに乗った働き方を好きなようにしてきた結果、ポジションレスになった、というのが正しいのだと思います。

「能力で分ける時代」から「役割で分ける時代」へ

僕に限らず、僕のような人材は割と増えてきてるんじゃないかなーと思ってて、結構いろなところで活躍しているひとをみるようになりました。ある人はCTOだったり、技術顧問だったり、自分で会社を立ち上げていたり。

かつてインフラ、アプリでエンジニアをわけていた時代から、役割で分ける時代がきてるなーってのをなんとなく感じてます。役割というのは「プロダクト新機能開発部隊」「CS/マーケなどの部隊のための開発部隊」「プロダクト信頼性向上をメインとした開発部隊」みたいなかんじすね。

僕はインフラ周りの技術が好きで、サーバが高速化したりデプロイが自動化されたりするところに萌えポイント感じるんで、SREという仕事はとても楽しいんですけど、一方でコードの審美性に萌えポイント感じるので新機能作って出してくの大好きーってひともいるので、萌えポイントによって得意そうな役割を割り振っていくのが一番いいなーと個人的には思います。

なのでなんでもできるって言葉を鵜呑みにしてなんでもできる人にただふるんではなく、エンジニアを雇う側は「君は技術的にどういうところに萌えるのか」みたいな質問をしてあげれると、採用も結構ラクになるのかなーとか、考えたりしてます。

ポジションレスな人の評価の仕方

これは最後のほうで質問がでたんですけど、評価のされ方、仕方はどうすればええんじゃっていう話だったんですが、個人的にはSREという職業に評価をつけるのは無理だろーってのはすごく感じます。無理とはいいつつ、気持ちを保つためのポイント、下がるポイントってのはやっぱりあって、

海外や他の会社がどうなのかわからないので、僕の例でいくとポイントは三つあって、

  • ちゃんと見てくれる人がいること
  • 僕のおかげで目に見えて仕事がラクになった人が現実的にいること
  • お金(お給料)が上がること

のみっつだろーなーと思います。逆に僕がモチベーションが下がるのは

  • 誰も見てくれない
  • 自分の仕事ぶりを知らないひと / 知っていると信じていた人からひどい評価をうける
  • 結果お給料に反映される(他の人より上がり幅がなかったり、下がる)

というものです。これ実際に前の会社であって、すごくその時は落ち込んだし、なんのために仕事していいのかわからなくなってしまったときがありました。

なので、ポジションレスな働き方をする人は、360度評価の対象にしたらダメな感じがします。自分以外の人が見えてないひとが多い職場ほど「仕事してねーなーあいつ」って思われることが多いです。僕はそれで苦しい思いをしました。

ポジションレスな仕事術

イベントの後ふと考えたんですが、こういう仕事をするときはどっかに特化した力より、広く浅く時々深い理解があったほうが幸せな感じがします。あとコミュ力と、能動的に動く行動力が必要です。

仕事を振られるのを待ってるだけの人ではなく、周りに積極的にコミュニケーションをとって、ひっぱりだしていく能力がある仕事をできる人のほうがこういう仕事は向いていると思います。小山田さんはプロバスケットリーグのウォリアーズの話をしていましたが、どちらかというポジションレスな人たちというのはサッカーでいうサイドバックに近いのかなーと僕は感じてます。

一つ例をあげると、イタリアのサッカーリーグにACミランというチームがあるんですね。日本人の本田圭佑選手がいることで知られているチームです。

そこのアバーテっていうサイドバックの選手がいて、彼はサイドバックなんですが積極的に攻撃参加もします。前線のサイドに本田選手がいるんですが、本田とボールのやりとりをしながら前まで走っていきます。そして守備になると後ろに戻ります。

いくつものポジションをできる選手はたくさんいるんですが、僕はポジションレスっていうのはいくつものポジションを器用にこなせる力、というよりむしろポジションレスに動く意識と周囲に働きかける影響力があるかどうかっていうことなのかなあと感じているので、どちらかというとそこのポジションやってるけど、積極的に前線にも顔を出しますっていうサイドバックのほうがしっくりきます。

まあそんな感じで結構人間としてもとめられることも多いのかなと。誰ですかね。IT関係の仕事はパソコンに向かってるだけで誰とも話さなくていいからラクでいいなあとかいったのは。もしITよく知らないひとからそんなこといわれたらむしろコミュ力いる仕事じゃけえと言ってやってください。

出会いあるから勉強会楽しい

そんなことを話す勉強会でしたが、小山田さんの絶妙なハンドリングと、もうひとりのパネラーの高柳さんが周りを立てるのもお話するのも得意な方で、とてもラクにお話できました。本当にありがとうございました。考え方をまとめるいい機会でした。楽しかったす。

そんな面白い出会いがあるから勉強会は楽しいですね。今年はいろいろアウトプットな一年にしたいので、いろんなところに顔を出していきたいです。

小山田さんは次回もパネラーを呼んだ形式の勉強会を企画されているらしいので、ぜひぜひ参加してみてください。